New Testament

2006.00/00 ブログ 黝堊丹漆。



そんなはずは無い。

これは嘘だ。そう、思った。





睦月の死からもうすぐ二ヶ月も経つ。

オレはそれまでの間、なにも考えなかった。

何をしていたのかも憶えていない。

最近それに気づいて少しびっくりした。

あれ?宇宙人に誘拐されたっけ?

そんなバカなことを口にしたけど、

よけい虚しいだけだった。






睦月はあの暗い森で死んでいた。

独り。喉を裂いて。

その手は何かを掴んでて。

黒くてよく見えなかったけど、

近くに行くとすぐわかった。

昔オレが編んでやった赤いお守り。

それが血で、黒くなってた。






其処には警察がいて、

「他殺かも知れない」

そう言ったのを憶えている。

オレはその時、

バカだな。自殺だよ、、

ほらそのナイフは睦月のだ。

そう呟いたと思う。






そんな考えができる反面、

頭の中はグシャグシャだった。

これはあいつじゃない。

きっと死んだのは別の誰かだ、

睦月は死ぬはずが無い。

別の誰かが死んだんだ。

それだけをただ、何度も思ってた。






だってそうだろ?

最期に逢ったのは五日前で、

笑って別れた。

「じゃあ、来週また来るから」と。







信じられるはず無いじゃないか。

別れたとき、約束までした。

「楽しい本とか持ってくからさ」と。

だけど。

予定より早く逢った睦月は死んでいた。

別れるときにはもう、死ぬ気だったのかな?

そう思うと、とても悲しい。












そういやあの本、どこいったんだろ。

君が死んでからすべてが曖昧なんだ。

すべてが絵空事みたいで嘘みたいなんだよ。

嘘だったら。どれだけうれしいだろう。

もう絶対に、離れたりしないのに。



此岸屋梁落月彼岸