そんなはずは無い。
これは嘘だ。そう、思った。
睦月の死からもうすぐ二ヶ月も経つ。
オレはそれまでの間、なにも考えなかった。
何をしていたのかも憶えていない。
最近それに気づいて少しびっくりした。
あれ?宇宙人に誘拐されたっけ?
そんなバカなことを口にしたけど、
よけい虚しいだけだった。
睦月はあの暗い森で死んでいた。
独り。喉を裂いて。
その手は何かを掴んでて。
黒くてよく見えなかったけど、
近くに行くとすぐわかった。
昔オレが編んでやった赤いお守り。
それが血で、黒くなってた。
其処には警察がいて、
「他殺かも知れない」
そう言ったのを憶えている。
オレはその時、
バカだな。自殺だよ、、
ほらそのナイフは睦月のだ。
そう呟いたと思う。
そんな考えができる反面、
頭の中はグシャグシャだった。
これはあいつじゃない。
きっと死んだのは別の誰かだ、
睦月は死ぬはずが無い。
別の誰かが死んだんだ。
それだけをただ、何度も思ってた。
だってそうだろ?
最期に逢ったのは五日前で、
笑って別れた。
「じゃあ、来週また来るから」と。
信じられるはず無いじゃないか。
別れたとき、約束までした。
「楽しい本とか持ってくからさ」と。
だけど。
予定より早く逢った睦月は死んでいた。
別れるときにはもう、死ぬ気だったのかな?
そう思うと、とても悲しい。
そういやあの本、どこいったんだろ。
君が死んでからすべてが曖昧なんだ。
すべてが絵空事みたいで嘘みたいなんだよ。
嘘だったら。どれだけうれしいだろう。
もう絶対に、離れたりしないのに。
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