好きだから逢えないんだ。
もう。永遠に。
キレイになった職場を眺めて、
うんと呟いて机についた。
いつも通り雑用をして、
お疲れ様。そう言って家に帰った。
家の前には人がいた。
仕事が終わった後の、夜の九時。
家の前で男が座り込んでいて。
不審人物、、、?
そんなことをふと考える。
でもそれは違うと気がついた。
暗くてよく見えなかったけど、
あれは、あのシルエットは、
絶対に高校の先輩だと、
すぐにわかった。
だからオレは、逃げた。
高校の時、
オレは少し変なバイトをしていた。
厳密には中学の時から始めたバイトで。
悠が死んだ時俺は公園でボーっとしていて。
毎日、毎日、ぼーっとしていたら、
声をかけられた。
だから俺は。そこで働いた。
そのバイトは中学生や高校生が、
客と話をするというバイトで、
別に風俗のような所ではなかったけど、
まぁ、ちょっと違法な店だった。
オレはその店をみて、すぐに気に入った。
時給は通常の二倍はあったし、
胡散臭さが、ちょうどいいと思った。
オレは中学には行かず、毎日働いた。
客はいろんなグチを言って、
オレはそれに適当な相槌を打つ。
そして一緒にトランプゲームをしたり、
歌ったり、飛び跳ねたり、騒いで、
客に高いお菓子を注文させて、
ずっとずっと、嗤っていた。
それからオレは中学を卒業し、
通信高校というモノに通い、部活をした。
其処にいた先輩はすっごい優しくて、
男女問わずセクハラしまくる人で、
今までにいない人で、毎日が楽しかった。
そして、いつだったか、
バイト先の友達と先輩が知り合って、
雰囲気で、
先輩がバイト先に来ることになった。
普段先輩はセクハラが好きだから。
だからそのバイト先を気に入ると、
オレはそう思っていた。
でも店に来た先輩は始終ムッとしていて、
10分もたたないうちに店を出た。
オレはそんな先輩を見てびっくりした。
怒った先輩は初めて見たから。
だからオレは先輩を追いかけた。
店を出ると先輩はすぐ其処にいて。
「なんでこんなところで働いてる」
「其処までバカじゃないだろ」
「もっと自分のことを考えろよ」と。
そう真剣に怒鳴られたのを今もまだ、
はっきりと憶えている。
ありふれた言葉だけど、
オレのことを考えてくれた人は初めてで、
オレを必死に説得とかしてくれて、
店を辞めるのを一緒に謝ってくれて、
他の人にはわからないかもしれないけど、
オレはほんとうに、いまもまだ、
どんな言葉でも言い表せないほど感謝してるんだ。
初めて睦月や悠と同じぐらいすごく好きで、
もう本当に大切だと思えて、崇拝といっていいほど
感謝してて、幸せになってもらいたいとそんなことを
はじめて思えた人で、逢って声とか聞きたいけど、
先輩の幸せは絶対に壊したくないから。
先輩は、やっと好きな人と家庭を持ったから。
だからその幸せを。オレはどんなことがあっても、
絶対に壊したくない。
あんな人とはもう一生出逢えないだろうけど
先輩には本当に幸せになってもらいたくて、
オレが人の幸せを祈るとか、
そんなのはほんとうにおこがましいけど、
いまオレが人の幸せを祈れるのはあなただけで、
オレのこのドロドロの気持ちなんかは、
きっと先輩に迷惑しか掛けられないから。
だから絶対に先輩には見せられなくて、
連絡とかずっと無視するしかなくて、
でもオレはこれからもこんな感じだから、
だから、だからだから、
あ゛ーーーーーー。クソ、
最低だ、なんなんだよ、ホント。
すげー逢いたい。逢って、話したい。
今もすごく苦しくなるほど、
逢いたくて、なんか、もう、
恋みたいにすっげー好きで、
ありえないぐらい好きだから、、
だから、もう、絶対に。
逢えないんだ。
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