其処には何も無かったのか。はたまた。抉られたのか。
痛みは自己を認識する一番簡単な方法。
まるで夢か現実かを確かめるように。
深く。その身を切り裂いた。
職場に行って。こんにちわ。そう言った。
今は朝だからおはようゴザイマスご主人様。だ。
二週間ぶりの会話は、そんな変なもので。
前と同じように職場の人は笑ってくれていた。
何も変わっていなかった。休んだ時から。何も。
あえて言うなら受付の人がカチューシャを、
本当に似合わないカチューシャを付けてたぐらい。
パンダがいる。そう言って叩かれた。
昨日。全然眠れなくて。きつくなって。
肩を、切り裂いた。もうすぐ夏だから。
腕ではなく。誰にも見えない。肩を。
背中を。スッと裂いてみる。
痛い。すごく、ズクズクと痛む。
朝起きると。血が予想より出ていた。
白いシャツが黒い血で汚れていた。
相変わらずバカな事をしていると思う。
でもこの疼く痛みが暗い考えを減らし、
少なくとも生きていることを教えてくれる。
寝ていても、意識の奥に存在する痛みが、
まるで座標のように俺の位置を教えてくれる。
俺は、確かに其処にいると。教えてくれる。
俺は長いこと人と付き合うのが苦手だ。
何かあるとすぐに逃げて。捨ててしまう。
この職場も。長くは居れないと思ってしまう。
三年。三年でみんなダメになる。
いつからか変な考えが頭に巣食った。
どの付き合いもそう長く続かないのは。
すべて俺が。自分でダメにしてるから。
途中から。ダメにしてしまう。
長くなると独占欲が強くなって。
しだいに話しかけるのも怖くなる。
距離のとり方がわからなくなって、
どうにかしてそれをやめようと思って。
だけど全然それが上手くいかなくて。
すごく醜いモノで。ココロが腐る。
この職場はいつまで居れるんだろう。
いつもいつも。考えること。
抉られたのか。はたまた何も無かったのか。
ドーナツの中心にはいったい何があるのだろう。
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