metempsychosis

2 0 0 7. 0 6 / 1 1 ドーナツ空間の抉れ。








其処には何も無かったのか。はたまた。抉られたのか。














痛みは自己を認識する一番簡単な方法。

まるで夢か現実かを確かめるように。

深く。その身を切り裂いた。












職場に行って。こんにちわ。そう言った。

今は朝だからおはようゴザイマスご主人様。だ。

二週間ぶりの会話は、そんな変なもので。

前と同じように職場の人は笑ってくれていた。

何も変わっていなかった。休んだ時から。何も。

あえて言うなら受付の人がカチューシャを、

本当に似合わないカチューシャを付けてたぐらい。

パンダがいる。そう言って叩かれた。














昨日。全然眠れなくて。きつくなって。

肩を、切り裂いた。もうすぐ夏だから。

腕ではなく。誰にも見えない。肩を。

背中を。スッと裂いてみる。

痛い。すごく、ズクズクと痛む。

朝起きると。血が予想より出ていた。

白いシャツが黒い血で汚れていた。

相変わらずバカな事をしていると思う。

でもこの疼く痛みが暗い考えを減らし、

少なくとも生きていることを教えてくれる。

寝ていても、意識の奥に存在する痛みが、

まるで座標のように俺の位置を教えてくれる。

俺は、確かに其処にいると。教えてくれる。

















俺は長いこと人と付き合うのが苦手だ。

何かあるとすぐに逃げて。捨ててしまう。

この職場も。長くは居れないと思ってしまう。

三年。三年でみんなダメになる。

いつからか変な考えが頭に巣食った。

















どの付き合いもそう長く続かないのは。

すべて俺が。自分でダメにしてるから。

途中から。ダメにしてしまう。

長くなると独占欲が強くなって。

しだいに話しかけるのも怖くなる。

距離のとり方がわからなくなって、

どうにかしてそれをやめようと思って。

だけど全然それが上手くいかなくて。

すごく醜いモノで。ココロが腐る。

















この職場はいつまで居れるんだろう。

いつもいつも。考えること。
























抉られたのか。はたまた何も無かったのか。

ドーナツの中心にはいったい何があるのだろう。

此岸屋梁落月彼岸