見たくない。訊きたくない。
赦して。赦す。赦さない。
同い年の子が幼稚園に通うころ、
オレは施設に入った。
母親がヒスを起こし、
もうイヤだと、そう言ったから。
施設に入る時、父親はオレに声を掛けた。
お前が母さんを怒らせるからだぞ、と。
オレが何をした?
気がついたら殴られてた。
気がついたら謝ってた。
ずっと、ずっと、何もしてないのに。
思えば、あれが始まりだった。
あいつらのせいで、いつも不安で、
寂しくて、すべてが憎くなって。
いつしか人を信じなくなった。
独占欲が強くなっていた。
嫉妬が激しくなった。
成人してまでこんなことに囚われるのは、
ほんとうにバカだし、ガキみたいだけど。
どうしても忘れることができないんだ。
オレを形作ったあの環境を、
あの、悪意にまみれた日常を、
ずっと、恨んでしまう。
もしオレが普通の家庭に生まれていたら、
明るく楽しく、生きて行けたかもしれない。
そんなことを考える。
でも何かしら不満を見つけて、
やっぱり今と同じようになったかな。
そうとも考える。
歪んだからこそ得たモノもあった。
だけど結局、悠も、睦月も死んだ。
やりきれないよな。ホント。
考えたくないのに考えてしまう。
記憶がぐちゃぐちゃだ。
いろんなことを思い出す。
いやだ。ほんとうに。
いやだ、
もう、いやだ。
終わってしまえ。
すべて。
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