New Testament

2006.00/00 ブログ リセットボタン。



お前は知っているのか。

あの、異常な日々を。











「人生は一度だけだから楽しい」

そう、客が言っていた。

ゴルフのスコアに例えて、

さも誇らしげに。








イヤな客だ。

オレは「そうですね」そう嗤って。

また暗い感情に囚われた。









オレは二・三歳のころ、

軽い知恵遅れだと診断されたらしい。

それからあの母親のヒスが激しくなった。

そう、姉から訊いた。

だけどオレは気づいたら罵られていたから、

罵られるのが当然なのだと思っていた。









オレには姉が二人と、兄が二人いる。

でも、実際に一緒に住んでいたのは、

姉一人だけ。

絵に描いたような、ダメな家族。

オレも立派に血を引いている。

血を流しても。

どれだけ血を流しても。

きっと、根源に、この血が、、。










客が「人生は一度だけ」そういった時、

暗い感情と共に気づいたことがあった。

もしかしたらオレは、

リセットボタンを探していたんじゃないか。と。

人生のリセットボタン。

もしかするとあの歯車の夢では、

それを探していたのかも知れない。と。

そんなことに気づいた。








だから「人生は一度だけ」という、

そんなありふれた言葉に、

オレは憎しみすら抱いた。

あるはず無いよな。バカらしいよな。

きっとあの客にしてみれば、

もう一度やり直したいと、

そんなことばかり考えるオレは

とても滑稽に映るだろう。

ガキだと笑うだろう。

でもオレはきっと、

今もまだ、それを必死に探している。











イヤな客だと思ったのは。

きっと憧れたからだ。

ああやって明るく、

人生は一度だけだから楽しいと。

そんなことを言えるあの客が。

とても羨ましかったんだ。



此岸屋梁落月彼岸