夢と現実。
その狭間に囚われて。
彼女と付き合い始めて、
ふと思った。
小学校だ。と。
同じ世界なのに、
蚊帳の外だと。
お互いに大人なのに。
なぜかそう思った。
小学校の時によく言われた言葉。
決まり事は守らなきゃダメよ。
みんなで仲良くしなきゃ。
みんな友達でしょ?
困っていたら助けてあげるの。
関係あるわ、これは連帯責任なんだから。
その先生は美人で優しいからと、
他の生徒にはとても人気があった。
みんな、先生が好きで、笑ってて、
優しい言葉がいつも教室に溢れていた。
でもあいつは知っていただろうか、
あの言葉一つ一つが凶器だったことを。
あの常識にまみれた優しい言葉が、
切り裂くような力を持っていたということを。
オレは学校の行事が嫌いだった。
家の異常さが際立つのが厭だった。
でもその年は担任に必死にお願いされて、
運動会に出ることになった。
仲のよかった友達とも約束させられて、
出たくなかったけど、運動会に出た。
運動会の当日、
昼になると皆は親の元へ戻った。
アナウンスでも、それが、促されていた。
だけどオレの親は運動会などに来るわけがなく、
オレは一人で、昼食をとる空間を探した。
一人でにぎわう学校内をさまよった。
でもすでに至る所に人がいて。
いろんな家族が楽しそうに、
ほんとうに楽しそうにシートを広げてて、
各々、自分たちの場所をとってて、
走ったことを自慢したり、褒められたり、
自分たちの、幸せな空間を作ってて、
そのシートの一つ一つが、
オレにはとても、なにか違うものに見えて、
後からどんなに居場所を探しても、
オレがいられる場所なんてどこにも無くて。
ものすごく、羨ましくて、悔しくて、
周りを見ることができなくて、
うつむいて。
あの時オレは一人蚊帳の外だと、そう思った。
世界には、参加していないのだと。
すると途中、
昼を一緒に食べようと、
そう言ってくれるクラスの子がいた。
オレはうれしくて、その子を見た。
そして、断った。
絶対に、いやだと思った。
その子は家族と、一緒にいたから。
だからどんなことがあっても、嫌だった。
ちょうどその時、
仲のよかった友達が目に入った。
ソイツもオレを見つけて、走ってきた。
そして、
昼を食べたから一緒に遊ぼうと言った。
いつもみたいに、すっげー笑ってた。
オレは、そんな友達の言葉を聞いたとたん、
急に、泣きそうになって、、
本気で走って、、友達を振り切って、
電気の消えた暗い教室に駆け込んで、
独りで泣いたのを憶えている。
そんなことを、なぜか、思い出す。
彼女と付き合ってから、頻繁に。
なぜか解らないけど思い出す。
今、居場所は、たぶんある。
あの時よりかは、あるはずだ。
働いてるし、自由も利く。
成人したし、庇護も要らない。
今のオレは、オレが選んだ。
だから居場所がないというのなら、
それは自分の責任だ。
でもやっぱり違う。
彼女といても、満たされない。
ここは居場所じゃない。
オレはぜんぜん変われていない。
好きだけど、やっぱり違う。
人として、好きなだけ。
愛じゃない、異性じゃない。
性欲とか、家庭とか、子供とか、
そんな暖かい世界は、無理だ。
きっとオレは一生解らない。
居場所なんて、見つけられない。
なのに今もまだ、うつむいて、
居場所を、、、。
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