metempsychosis

2 0 0 7. 0 5 / 2 5 愚かな願いと占いを。





満たされると不安だなんて。

何て皮肉なイキモノなのだろう。










仕事帰りに占いをしてもらった。

雑誌に載っていたよく当たる占い師。

ウソだウソだと職場で騒がれてて、

じゃあ行ってみようと、そんな話になり。

話のネタとして。職場の人と一緒に。










占いは兄さんから先にしてもらった。

兄さんは恋愛のことを占ってもらい。

それについて色々と話す占い師を見て。

(なんか曖昧な台詞だな。)

(どーとでもとれるじゃないか。)

俺はそんなあら探しばかりをしていた。

初めから信じようとは思っていなかった。











そして兄さんの占いが終わり、

「ヤバイ、オレ素敵な人間だって。当たってるかも」

そうやって笑う姿を見て。

「兄さんは素敵なんかじゃないですよ。」

俺も茶化しながら笑ってた。














俺は教育実習のことを訊き。上手くいくといわれた。

そのようにしてれば上手くいく。と。

それを訊いて俺は喜んだフリをした。そして。

(俺の振る舞いにすら気づいてないじゃないか。)

注意点などを訊きながらそんなことばかり考えていた。












兄さんが、よかったな。そう笑ってくれた。

俺も、よかったと。そう喜んだフリをした。

「ありがとうございました。」

そう言ってその場を去ろうとした時。

ふと、言われた。

「あなたが本当に訊きたかったのは違うよね?」

「今あなたの心には穴が開いている。」

「このまま行くとその穴に深く迷い込む。」










顔が強張ったと思う。俺はビックリして訊いた。

「は?なんですかそれ。」

それ以上語られないように。低い声をだした。

素で、慌てて、遮るように聞き返した。

「迷い込んでもあきらめなければ、大丈夫だから」

軽く、とても軽く、あいつはそんなことを言っていた。











「今あなたの心には穴が開いている。」

その言葉を訊いたとき。ズクリと。疼いた。

心と形容するのは可笑しいけど。

確かにそこが、震えるように。疼いた。

言い当てられたのか、はたまた俺の解釈か。

そんなものはわからないけど。

睦月たちのことを知られてるような気がして。

とても気味が悪いと、心底思った。












占いが終わって外に出ると雨が降っていた。

それまでもパラパラと降っていたけど。

なにか違う雨のように見えて。変だった。

俺も結構、宗教とかはまりやすいのかもしれない。

「あいつ怖ぇーよ。心の穴って何さ?!」

そう誤魔化しながら笑って、叫んだ。

「気にするなって。」

「きっとマルコビッチの穴みたいなもんだよ」

兄さんは笑いながら、映画の話をしてくれた。















あの最後の言葉を訊いたとき、オレは鳥肌が立った。

どこか、囁かれたかのように、甘い言葉だった。

とても変で、気味が悪いんだけど。魅力的な言葉。

兄さんがいなかったらまだ、あの言葉を聞いてたと思う。

そして最後まで聞いて、しまいには気が狂ったと思う。

なんでか解らないけど。なんとなく、そんな気がする。




















もう。どうにもならないところまで来てるのに。

本当に俺のことがわかるのなら。笑って殺してくれよ。

此岸屋梁落月彼岸